「ビスタ・ナツ・・・。さがってくれないかしら。お父様との水入らずの時間をあなたになんか邪魔されたくないの。」 「承知いたしました、お嬢様。」
そう言うとビスタ・ナツは観念した様子のチヒロを見ながら微笑んだ。チヒロは一瞬拳を固く握ったが、怒りよりも宇宙に行くことのできない悲しさのほうが先立った。
「チヒロ、週末は何をしていたんだい?」 「ずっとお勉強ですわ、お父様・・・。」 「チヒロは偉いな。私も見習わなければな!はははは」 「いいえ・・。お父様は十分立派ですわ・・。」
チヒロは気持ちの晴れないまま父親と話すのが申し訳ない気分になってきた。せっかく自分のために空けてくれた時間なのに・・。と心の中で悲しみと葛藤した。
「出発の時間に間に合いますか〜?」 「この調子だったら間に合わねぇ!デイヴィスが何とか話をつけといてくれればいいんだけど・・。」 「じゃあミディさん!運転変わってください〜!」 「へ?なんで?」 「秘密兵器ですよ〜!」 「笑って言うな!!なんか怖いから!!ったく・・・よいしょ・・それにしてもお前どこで免許取ったんだ?」 「免許ですか〜?・・・よいしょ・・・どっこらしょ・・・取ってませんよ〜!!ポチッとな」 カチ 「へ?・・・・まさかお前!!!」 「摑まっててくださいよ〜!!!行きますよ〜!!はは〜」 「ま、待て!!!!やっぱり自分で!!!!ぎゃあああああああああ!!!」
「チヒロ?おいチヒロどうした??」 「え、ああぁ〜すいませんお父様・・・。なんでしたっけ・・?」 「ああ、大丈夫か?それが今度お前に見合い話が持ち上がってるんだが??」 「え・・・・・・でも。」
チヒロは動揺した。まだ16歳の自分には関係ないと思っていたからだ。
「大手企業の社長の息子さんなんだがね・・・」 「ちょっ、ちょっとお父様!!」
チヒロは話を止めた。
「わ、私はまだ16ですし・・、それに・・・。」 「なんだ?好きな奴でもいるのか???それならそう・・・と」 「ち、違います!!!あの方はそんなんじゃ!!は・・・。」
自分が何を言っているのか解かんなかった。なんで脳裏にデイヴィスの顔が浮かんだのかも動転していたチヒロにはまだ理解できなかった。でもまたデイヴィスに会いたいという気持ちがあったのは確かだった。
その頃東宅の到着したミディとピロリは音なしジェットで探索していた。
「ひれ〜!!なんだこの家、広すぎだろ!」 「まったくですね〜・・・。あっ!ミディさん、おでこにたんこぶが!」 「誰のせいだと思ってんじゃ、ボケ!!!あんなん使いやがって!!!今度使ったら焼く!!決定事項だからな!!!分かったか!!!???ってか一生お前のに乗んねぇ〜よ!!!」 「ええ〜せっかく開発したのに〜。ブ〜ブ〜!! あイタ!!!イッタ〜イ!!」 「騒ぐんじゃねぇ!!!見つかったらどうすんだ!!」 「だからって殴らないでくださいよ〜!それにミディさんも声大きいですよ〜!!」
喧嘩をしながらもチヒロを探してた二人はチヒロを発見したが、隣に座る父親を見て瞬時に状況を把握した。
「出れなさそうですね〜」 「やっぱりあのナツって男、仕掛けてやがったか・・。」 「どうします?」 「でも連れ出さなきゃしょうがねぇだろ!!」
二人は悩んだ。するとピロリが庭師を見て手をあげた。
「はいはい〜!」 「なんだ?ピロリ君言ってみなさい!」 「はい〜!先生。それはゴニョゴニョ・・・。」 「ふむふむ・・・なるほど・・・ピロリにしてはいい線言ってるな!よし!!それで行こう!」
廊下で腕を組み壁にもたれ掛かってるナツは二人の会話が終わるのを待っていた。
『ピンポ〜ン』
東宅のインターホーンが鳴った。ナツはため息をつきながらもドアを開けた。
ガチャ・・・
「こんにちは!わたくし庭師のものですが!!!」 「なんだ??」 「実は少々トラブルがあったもので・・。」 「はぁ〜、今じゃなきゃだめなのか?」 「それが急用でして〜はは。」 「分かった・・・すぐに行く。」
ナツはチヒロの様子をちらりと目で見て確認してから外にでた。
「どこだ?」 「こっちです旦那!」
すると一人のメイドが入れ違いに中に入っていた。ナツは不振に思ったがそこまで疑わなかった。
「あんれ?あんた新人かい?」
中に入ってきたメイドを見て階段から降りてきた熟年のメイドは言った。
「はい〜!!昨日チヒロ様の面倒を見るようにナツ様に言われたんですぅ〜」 「そうなのかい?それじゃちょうどよかった。もうすぐお嬢様はお風呂に入る時間だからタオルとパジャマを用意してくれないかい?」 「わかりました〜!!部屋はどこですか??」 「二階の突き当たりだよ、大丈夫かい?」 「大丈夫です〜」 「もうすぐで二階に来られると思うから早くね」 「了解です〜!」
「チヒロ、そろそろお風呂にでも入りなさい?メイドには用意してもらってるから」 「はい・・・お父様。」
そう言うとチヒロは部屋から出た。
「はぁ〜・・・。」 「おや?お嬢様!お話は終わられましたか?」 「え、ええ・・。」 「お風呂の準備できてますよ〜。」
チヒロは首を縦に振って走って二階に行った。すると一人のメイドが窓際で何かをやっていた。
「何しているの?もう、さがっていいわよ!」
チヒロはイライラしていた。もう一人になりたかった。しかしメイドはニコニコ笑ってチヒロを見た。
「それは困りますよ〜!チヒロちゃんを迎えに来たのに〜!」 「ピロリさん!!!!」 「しー、静かに。今ミディさんがナツさんを誘き出してるんで今のうちに!!」
ピロリは窓際のジェットにチヒロを乗せた。
「部屋の場所が当たってよかった〜。」・・・もしもしミディさん〜任務成功です〜」
チヒロは嬉しかった。希望さえ捨ててたのに、こんな危険を冒してまで来てくれるなんて自分の周りには誰もいないからだ。
「おい、庭師。どこが問題なんだ?どこも・・・。」 「あれ〜!!ああそうそう!!!問題はあなたでしたねぇ〜」
そう言うとミディは帽子を外した。
「君は!!!!!」 「あんたのかわいい〜チヒロちゃんは預かったんで!!じゃ!!」
ミディは全力で走った。ナツも後を追った。
「ミディさ〜ん!!!」 「ピロリ!チヒロ!!」 「届いて〜〜〜!!!!」
後ろから追ってくるナツに捕まりそうなミディは必死に逃げた。
「くっ、久しぶりの地上はつらいな・・、ピロリー!!!もっと寄せろー!!!へたくそ!!!」 「ひどいな〜!!」
ピロリは地上ぎりぎりまで寄せた。するとチヒロが手を伸ばした。
「ミディさん捕まって!!」
ミディはビックリした。まさかチヒロが手を伸ばすなんて思っても見なかった。ミディは予想がはずれ一人笑った。
「っぷ・・・さ、サンキュー!」
チヒロの手をつかんだ瞬間、ミディは服を誰かにひっぱらられた。 ナツだ。
「あなた達は何をしてるか分かってるんですか!!こんなことをしても何の得にもなりませんよ!」 「うっせ!!!はなっせ!!」
ミディは思い切りナイスガイの顔を殴った。
「損得で動いてるほど私達は頭よくないんだよ!!」
ミディの右ストレートに呆気にとられているナツにそういい捨て3人は闇に消えていった。/☆