☆第六話

「ビスタ・ナツ・・・。さがってくれないかしら。お父様との水入らずの時間をあなたになんか邪魔されたくないの。」                                                                   「承知いたしました、お嬢様。」


そう言うとビスタ・ナツは観念した様子のチヒロを見ながら微笑んだ。チヒロは一瞬拳を固く握ったが、怒りよりも宇宙に行くことのできない悲しさのほうが先立った。


「チヒロ、週末は何をしていたんだい?」                                                 「ずっとお勉強ですわ、お父様・・・。」                                                  「チヒロは偉いな。私も見習わなければな!はははは」                                         「いいえ・・。お父様は十分立派ですわ・・。」


チヒロは気持ちの晴れないまま父親と話すのが申し訳ない気分になってきた。せっかく自分のために空けてくれた時間なのに・・。と心の中で悲しみと葛藤した。


 


 


 


「出発の時間に間に合いますか〜?」                                                     「この調子だったら間に合わねぇ!デイヴィスが何とか話をつけといてくれればいいんだけど・・。」 「じゃあミディさん!運転変わってください〜!」                                                「へ?なんで?」                                                                   「秘密兵器ですよ〜!」                                                            「笑って言うな!!なんか怖いから!!ったく・・・よいしょ・・それにしてもお前どこで免許取ったんだ?」                                                                            「免許ですか〜?・・・よいしょ・・・どっこらしょ・・・取ってませんよ〜!!ポチッとな」   カチ                   「へ?・・・・まさかお前!!!」                                                        「摑まっててくださいよ〜!!!行きますよ〜!!はは〜」                                          「ま、待て!!!!やっぱり自分で!!!!ぎゃあああああああああ!!!」                                




「チヒロ?おいチヒロどうした??」                                                  「え、ああぁ〜すいませんお父様・・・。なんでしたっけ・・?」                                    「ああ、大丈夫か?それが今度お前に見合い話が持ち上がってるんだが??」                           「え・・・・・・でも。」


チヒロは動揺した。まだ16歳の自分には関係ないと思っていたからだ。


「大手企業の社長の息子さんなんだがね・・・」                                   「ちょっ、ちょっとお父様!!」


チヒロは話を止めた。


「わ、私はまだ16ですし・・、それに・・・。」                                          「なんだ?好きな奴でもいるのか???それならそう・・・と」                                 「ち、違います!!!あの方はそんなんじゃ!!は・・・。」


自分が何を言っているのか解かんなかった。なんで脳裏にデイヴィスの顔が浮かんだのかも動転していたチヒロにはまだ理解できなかった。でもまたデイヴィスに会いたいという気持ちがあったのは確かだった。





その頃東宅の到着したミディとピロリは音なしジェットで探索していた。


「ひれ〜!!なんだこの家、広すぎだろ!」                                                 「まったくですね〜・・・。あっ!ミディさん、おでこにたんこぶが!」                          「誰のせいだと思ってんじゃ、ボケ!!!あんなん使いやがって!!!今度使ったら焼く!!決定事項だからな!!!分かったか!!!???ってか一生お前のに乗んねぇ〜よ!!!」                                                      「ええ〜せっかく開発したのに〜。ブ〜ブ〜!!   あイタ!!!イッタ〜イ!!」            「騒ぐんじゃねぇ!!!見つかったらどうすんだ!!」                                  「だからって殴らないでくださいよ〜!それにミディさんも声大きいですよ〜!!」


喧嘩をしながらもチヒロを探してた二人はチヒロを発見したが、隣に座る父親を見て瞬時に状況を把握した。


「出れなさそうですね〜」                                                       「やっぱりあのナツって男、仕掛けてやがったか・・。」                                    「どうします?」                                                        「でも連れ出さなきゃしょうがねぇだろ!!」


二人は悩んだ。するとピロリが庭師を見て手をあげた。


「はいはい〜!」                                                          「なんだ?ピロリ君言ってみなさい!」                                              「はい〜!先生。それはゴニョゴニョ・・・。」                                               「ふむふむ・・・なるほど・・・ピロリにしてはいい線言ってるな!よし!!それで行こう!」





廊下で腕を組み壁にもたれ掛かってるナツは二人の会話が終わるのを待っていた。


『ピンポ〜ン』


東宅のインターホーンが鳴った。ナツはため息をつきながらもドアを開けた。


ガチャ・・・


「こんにちは!わたくし庭師のものですが!!!」                                          「なんだ??」                                                          「実は少々トラブルがあったもので・・。」                                         「はぁ〜、今じゃなきゃだめなのか?」                                             「それが急用でして〜はは。」                                              「分かった・・・すぐに行く。」


ナツはチヒロの様子をちらりと目で見て確認してから外にでた。


「どこだ?」                                                       「こっちです旦那!」


すると一人のメイドが入れ違いに中に入っていた。ナツは不振に思ったがそこまで疑わなかった。




「あんれ?あんた新人かい?」                                                   


中に入ってきたメイドを見て階段から降りてきた熟年のメイドは言った。


「はい〜!!昨日チヒロ様の面倒を見るようにナツ様に言われたんですぅ〜」                    「そうなのかい?それじゃちょうどよかった。もうすぐお嬢様はお風呂に入る時間だからタオルとパジャマを用意してくれないかい?」                                            「わかりました〜!!部屋はどこですか??」                                      「二階の突き当たりだよ、大丈夫かい?」                                           「大丈夫です〜」                                                         「もうすぐで二階に来られると思うから早くね」                                             「了解です〜!」



「チヒロ、そろそろお風呂にでも入りなさい?メイドには用意してもらってるから」                             「はい・・・お父様。」


そう言うとチヒロは部屋から出た。


「はぁ〜・・・。」                                                            「おや?お嬢様!お話は終わられましたか?」                                                      「え、ええ・・。」                                                                     「お風呂の準備できてますよ〜。」                                                     


チヒロは首を縦に振って走って二階に行った。すると一人のメイドが窓際で何かをやっていた。


「何しているの?もう、さがっていいわよ!」


チヒロはイライラしていた。もう一人になりたかった。しかしメイドはニコニコ笑ってチヒロを見た。


「それは困りますよ〜!チヒロちゃんを迎えに来たのに〜!」                             「ピロリさん!!!!」                                                      「しー、静かに。今ミディさんがナツさんを誘き出してるんで今のうちに!!」


ピロリは窓際のジェットにチヒロを乗せた。


「部屋の場所が当たってよかった〜。」・・・もしもしミディさん〜任務成功です〜」


チヒロは嬉しかった。希望さえ捨ててたのに、こんな危険を冒してまで来てくれるなんて自分の周りには誰もいないからだ。


 


「おい、庭師。どこが問題なんだ?どこも・・・。」                                      「あれ〜!!ああそうそう!!!問題はあなたでしたねぇ〜」 


そう言うとミディは帽子を外した。                                           


「君は!!!!!」                                                           「あんたのかわいい〜チヒロちゃんは預かったんで!!じゃ!!」


ミディは全力で走った。ナツも後を追った。


「ミディさ〜ん!!!」                                                    「ピロリ!チヒロ!!」                                                      「届いて〜〜〜!!!!」


後ろから追ってくるナツに捕まりそうなミディは必死に逃げた。


「くっ、久しぶりの地上はつらいな・・、ピロリー!!!もっと寄せろー!!!へたくそ!!!」                        「ひどいな〜!!」


ピロリは地上ぎりぎりまで寄せた。するとチヒロが手を伸ばした。


「ミディさん捕まって!!」   


ミディはビックリした。まさかチヒロが手を伸ばすなんて思っても見なかった。ミディは予想がはずれ一人笑った。  


「っぷ・・・さ、サンキュー!」


チヒロの手をつかんだ瞬間、ミディは服を誰かにひっぱらられた。 ナツだ。


「あなた達は何をしてるか分かってるんですか!!こんなことをしても何の得にもなりませんよ!」                                                                    「うっせ!!!はなっせ!!」


ミディは思い切りナイスガイの顔を殴った。


「損得で動いてるほど私達は頭よくないんだよ!!」


ミディの右ストレートに呆気にとられているナツにそういい捨て3人は闇に消えていった。/☆                                                                          


 





            



【2007/05/05 18:12】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
★第五話

「お帰りチヒロ・・・心配したんだからな・・・」                                                                                       チヒロが屋敷に戻ると、蒼白のメイドの1人に激しい抱擁をされ、そのまま奥の部屋に通された。                            そこには無事なチヒロの姿に安堵している父親の姿。


「お父様!?どうして・・・一週間は出張で帰られないはずじゃ・・・」                                                             予想外のその存在にチヒロは驚いた。                                                                          「私がヴィッテルに連絡するように言ったんですよ。」                                                          「・・・ビスタ・ナツ・・・!!」                                                                               チヒロはくやしそうに唇を噛み締めた。このままでは部屋に戻してもらえるか分からない・・・それでは迎えの彼らの船に乗り込めるかもあやしくなってしまう・・・                                                                「通りで何も言わなかったはずだわ・・・」                                                                                     計画に気づいているはずなのに屋敷に帰る間に何も言わなかった。                                                          「彼らだってお子様の茶番に付き合うほど暇じゃないでしょう・・・そろそろお嬢様も大人しく従う方が賢いと学びませんかね?」                                                                  「・・・・・・・っな!!」                                                                                          あまりに自分を見下したような態度のナツにチヒロは顔を真っ赤にして激怒する。                                              


―――昔からこの男はそうだった。女が大好きの遊び人のくせに無駄に優秀で、父の信頼を一心に受け、そして心底私を馬鹿にしている。何を考えているか分からなくて、何もかも分かっていそうなこの男・・・


「貴方なんか・・・大嫌いよ!!」                                                                           唸るように言うと、チヒロは拳を握り締めた。                                                             一瞬、チヒロも気づかないほどの瞬間にナツは目を細め無表情になるが、すぐに口端を吊り上げ               「それは、それは・・・光栄だよ・・・」                                                                                                 と、くやしそうに震えるチヒロに笑って返した。                                                                                                  「ナツ・・・それぐらいにしてやってくれ・・・。チヒロも今回のことで懲りたであろう?それに、今回はすぐに居場所が分かってよかったが、本当に心配したぞ・・・」                                                     「ごめん・・・なさい・・・お父様・・・」                                                                                 「よい・・・それに言い訳も立ってしばらく休暇を貰うことも出来た、留守にしていた間の話を聞かせてくれるか?チヒロ・・・」                                                                                                     優しく微笑まれ頭を撫でられて、チヒロは爪が食い込むほどに拳を握り締めた。                                         早く部屋に戻らなくては・・・・いつ彼らの船が来るか分からない・・・                                                                  彼らは私を宇宙に連れて行ってくれると言ったのに・・・                                                         こんなチャンス絶対に二度と無い!!


「チヒロ・・・さぁ、紅茶でも入れてもらって映画でも見ようか?」                                                  「・・・・・・・・・・・・・・・・・」                                                                                         「チヒロ・・・・?」                                                                             「・・・・・・・・・・・・えぇ・・・お父様・・・」                                                                   


―――ごめんなさいミディさん・・・ピロリさん・・・私・・・行けない・・・


大好きな父・・・優しい手のひらを振り払う事が出来ず、チヒロは笑顔を張り付かせながら心で涙を流した。/☆

【2007/05/05 01:31】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
☆第四話

一瞬、その場は静まり返った。チヒロがナツと呼ぶその男は、冷ややかな目でチヒロの周りを見回した。チヒロも負けずとナツを睨み続けた。


「帰りますよ、チヒロ様」                                                         「なんであなたがここにいるんですの!!?」                                      「何言ってるんです。あなたを迎えに来たからじゃないですか」                             「私には・・やるべき事があるんです!そう簡単には帰れませんわ!!」


チヒロのその言葉にミディはやっと我に返った。


「おい!!てめぇ!誰の許可を得てここに来た?ここは関係者以外立ち入り禁止だ。」              「それは失礼。しかし私はチヒロ様の関係者・・・今日のところはそれでお許しいただけませんか?」                                                                          「いただけねぇな・・・全然いただけねぇよ。ここに入っていいのはどんな理由であれ私が許可しものだけだ・・・第一、チヒロは帰りたくないって言ってんだろ!とっとと帰んな!ピロリ!!塩まいとけ。」


いきなりのミディの言葉に一瞬ピロリは変な動きをした。・・・が急いでまじめに食堂に直行した。


「あのばか・・・ホントに行きやがった。まぁともかくだ、目障りだから帰ってくれ」


ミディは冷たく言い放った。しかしナツはミディの言葉を聞こうともしなかった。


「帰りますよ、チヒロ様。お父上もメイドたちも心配しておりましたよ。」


そういうとナツの顔は少し笑顔になり、少しだけ帰りたい気持ちにさせた。チヒロは足を前に出した。ミディは同時に眉間にしわを寄せた。


「どういうことだ?帰るのか?」                                                       


するとチヒロはミディのもとに走ってきた。そして耳元で何かを囁いた。ミディはニッコリ笑い言った


「そうか・・・じゃ・・帰りな!!おいそこの黒いやつチヒロを連れてけ!」                          「そうですか。やっとご理解いただけましたか。」                                            「おうおう。いただけましたともさ!」


そして二人は部屋を出ようとした。ミディは最後に言った。


「なぁチヒロ・・・今日はきっと星が綺麗だから夜南の窓から星を見るといい。」


チヒロは勝気に微笑みその場を去った。


 


「ミディさ〜ん!!ミディさ〜ん!!ミディさ〜きゃああああああ!!


壺を持っていたピロリは思いっきりコケ、ミディは壺を思いっきりかぶった。


「あ”!!!大丈夫ですかミディさん!!!」                                                


声のこもった壺の中でミディは言った。


「ピロリ・・・私は何を持って来いっていいましたっけ?」                                      「あ〜はい!塩です!!」


ピロリは自信満々に答えた・・・が次の瞬間鬼を召喚してしまった。


バカか〜〜テメェ〜はよ〜!!ああ??


ピロリは壁にへばりついた。


「塩って言ったんだよ〜。ただでさえホントに食堂まで行って、ああ〜ごくろうさんでした〜。でも何で甘いのかなぁ〜?このお塩?走ってる間に入れ替わっちゃったのかなぁ〜?                        


ピロリは話を変えようと思いついたように辺りを見回した。                                                  「あああ、あ、れ?チチチチチチ、チヒロちゃんは?」                                                                   「帰った・・。」


ピロリはその言葉に驚いた。


「へぁ!?!何で帰っちゃったんですか?ミディさんが返したんですか?」                          「うるせっ!!これはチヒロの考えだ・・・今夜出発と同時にチヒロを奪還してから行く! 


「奪還!!!!!」                                                        「・・・チヒロが変える間際、自分の家の場所を行って帰った。」                             「わぁ〜!お姫様奪還みたい〜!」                                           「お前・・・言うことが恥ずかしい。」


そういうと二人は屈み、コソコソ話し出した。


「でもひとつ問題がある・・・あのナツって男・・・多分計画に気づいてる。」                    「どうするんですか〜?!」                                               「そこでだ!ピロリ・・・お前この前音の一切出ないジェットとか発明してたよな?」                             「あぁ〜風の音はしますけど、回りの音に馴染むジェットですか?買い物するときに便利なんですよ〜」                                                                                                「ふむ・・・って言うことで、良かったなピロリ。買い物以外で役に立てるときが来たぞ!!」


ピロリはポカ〜ンとした。


「デイヴィスにも協力してもらう!!電話しろピロリ!!それで母船のコックピットに時間を延ばしてくれるように頼めと伝えろ!あいつのことだ・・・何とかうまく立ち回れるだろう。出発の時間までお前は作戦とジェットの整備だ!!」                                                               「ちょ、ちょっとまってくださいよ〜」                                                 「返事は!!??」                                                    「イエッサー!!」


こうしてピロリはまんまとミディに使われた。チヒロ奪還まであと一時間三十分。





 


 


ミディは部品を拭くピロリの横でコーヒーを啜りながらテレビをつけた。


『今日の2時半頃、キスト財閥の社長の長男、サン・キスト氏が2年前に行方不明になった、長村財閥の社長令嬢、長村雪さんについて会見を行いました。雪さんはキスト氏の婚約者で、今年の春頃婚礼を執り行うはずでしたが、その前の日雪さんは出かけてくると言ってそのまま行方不明になってしまいました。』


「かわいそーだな〜。逃げられたんだな〜」


横でブツブツ言っているミディを見ながらピロリは考え込んだように言った。


「サン・・・・キスト?」                                                     「どうした?」                                                                 「なんか聞いたことあるようなぁ〜」                                                「どっかのスーパーの名前じゃねぇの?気のせいだな!お前には縁がなさそうな話だよ」                             「ですよね〜」


二人は話しながらテレビに顔を向けた。


『キスト氏は雪さんの顔を今日テレビで公開しました。そして見つけた方に一億の賞金を授与することを発表しました』


写真を見たとたんミディは目を見開いた。


「・・・・・・・・おい・・・・・あの写真お前にくりそつなんだが・・・・」                                                 「気のせいですよ〜」                                                                    「だ・・・だよな・・・・・・・・」


ミディはまさかとは思いつつもあまり気にしなかった。そうであってもピロリが知らないと言うならそれでいいとミディは考えてた。/☆


 

【2007/04/28 20:50】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
stardustについて☆

こちらはHandmade Madame の管理人サクジロウとWonderman の管理人コックーによる完全オリジナル小説サイトです。


時代設定:                                                                                                                                                                      X世紀、貴族・政治家・無法者・放浪者・夢追い人・一般人・・・様々な人がいまや地球狭しと宇宙へその身を移していった。急増する人口、それと比率するように汚染される大地・・・のみならず宇宙も人間の手により今やそこらじゅうにデブリ地帯が出現する危険な地になっていた。                                                                                        政府が作った航路でしか船は宇宙を泳げず、海賊の溜り場と化した聖なる宇宙。                                                              そうしていつしか出来た政府公認の職業・・・“stardustパイロット”                                                                                                    宇宙に無限大に広がるゴミの山の回収。そして同じく宇宙に無限大に広がり続けるゴミのような奴らの排除。それが彼らのお仕事・・・


“デブリ・クリニック・カンパニー”                                                                                                    創設16年目のデブリ回収専門請負会社。もともとはミディの兄によって作られたものだが、彼が死亡してからはミディの手に渡った。


アズマ・チヒロ→16歳、大物政治家の娘、勝気な性格で生粋のお嬢様気質、本編主人公、夢を追うため家出、ピロリに拾われ居候のパイロット候補生になる


チジ・ミディペット→19歳、愛称ミディ、サーカス団団長の娘、デブリ・クリニック・カンパニーの現社長、死んだ兄の仇の海賊団を探している、かなり乱暴者


国原・ピロリ→19歳、本名は長村・雪の記憶喪失者、整備士の夢を追うためと愛の無い婚約者との結婚から逃げるため家を出たところ事故に会い記憶を失くす、ミディに拾われ現在はデブリ・クリニックの優秀な整備士、大概ぼけぼけな発言をする


後々追加予定です・・・☆                                                                                                                                                                                        

【2007/04/28 01:28】 | about | トラックバック(0) | コメント(0)
★第三話


「お、お嬢さまぁぁああああああああああああああああああ!!!」                                                                                                   とある高級住宅の一角にそびえる大邸宅。空は大雨、雷がひっきりなしに鳴る大荒れの中その邸宅から飛び出そうとする一人のメイド姿の女性がいた。


「やめなさいヴィッテル!!貴方ジェットカー運転出来ないでしょう!?こんな天気の日に普通の車で出ても事故に会うだけよ!!」                                                                                                             「でもお嬢様が!!“私はもう帰りません。お父様お許しください”って!!こんな書置き残されたって事はも、もももももしやじじじじじじじ〜〜〜〜〜自殺!?なんてことに!!!!」                                                               ヴィッテルと呼ばれたメイドは必死に止めようとする同僚の手を振り払い玄関の扉を開けて駆け出した。


ドンッ


勢いをつけて飛び出したヴィッテルは突然何かにぶつかると反動で後ろに転びそうになった。しかし、ヴィッテルが床に背を打ちつける前に誰かの手が彼女の腕を引きその身を抱きとめる。


「大丈夫かい?そんなに急いでどうしたんだ」                                                                          「ナツ様!?」                                                                                                                 ナツと呼ばれた男は抱えていたヴィッテルを離すと、ぶつかった拍子にほどけてしまった彼女の髪を撫でながら問いかける。しばらくされるがままに頬を赤らめていたヴィッテルだったが弾かれたように本来の目的を思い出し、すがりつくようにナツの腕を掴んだ。                                            


「お嬢様が!!お嬢様がいなくなってしまったのです!!」                                                                                     「お嬢様が・・・?」                                                                                                                   困惑した様子のヴィッテルの様子に眉をひそめると、ヴィッテルを止めようとしていた方のメイドが気づき、説明を加える。                                                                                                                    「先ほどヴィッテルがお嬢様のお部屋を清掃するときにこれを見つけたそうです。」                                                                           差し出された手紙を読んでナツは苦笑する。                                                                                                   「まったく、お嬢さまの行動力には困ったものだね。分かった、俺が連れて帰るから2人は先生に連絡つないでくれる?」                                                                                                                        「ナツ様、お嬢様の行き先を存じてますの?」                                                                                                         「大丈夫、知り合いの情報屋に聞けば一時間もせずに見つかるよ。」                                                          「ありがとうございます!!ナツ様!!」                                                                                                                                頼もしいナツの言葉に安心したのか余計に涙を流すヴィッテルの目じりにナツは指を添えると、怪しく微笑み彼女の耳元に囁いた。                                                                               「御礼なら・・・ベッドの中でしてくれるとありがたいんだけど・・・?」                                             「!!//////」                                                                                                                ボンッと顔を赤くしてヴィッテルは硬直する。そのままナツが手を彼女の顎に滑らすと・・・                                 「・・・・早くしてくれませんかね。ナツ様・・・」                                                                                                            「ははっ!冗談だよ!それじゃあ手がかり掴んだら連絡するから、先生に伝言頼んだよ」                                               冷ややかなもう1人のメイドの視線を笑顔で受け流すと、颯爽とナツは屋敷を後にした。                                            「まったく・・・頼りになるんだか、ならないんだか・・・・。さて、こっちは連絡しなきゃね・・・ヴィッテル・・・ちょっとヴィッテル・・・?」                                                                                                                          魂の抜けたような様子で頬を赤らめ玄関を見つめるヴィッテルに声をかけると、彼女はただ熱の篭った声で“ナツ様・・・・”と呟いた。                                                                                        「・・・・・完全に堕ちたわね・・・」                                                                                                                  同僚に哀れな視線を投げかけると、彼女は手にしていた手紙にちらりと視線をやり大きくため息をついて天を仰いだ。                                                                                                         「本当に見つかるのかしら・・・・チヒロお嬢様・・・」


―――――――――――――――


笑顔というものは人を和ませて、場の雰囲気を良くするものである。                                                                                                    


「ちゃんと温まったか?あぁ・・・でもその格好だと薄着だな。風邪を引いてしまうから・・・ピロリ、私のジャケットかなんか持ってきてくれ。」                                                                 「・・・・・・・・・・はぁ・・・・。分かりました・・・・」                                                                            「・・・・・・・・・・・・・あの・・・」                                                                           「ん?どうかしたか・・・?」                                                                              


笑顔とは人を和ませるもの、しかし今チヒロは目の前の人物の満面の笑顔に果てしない恐怖を覚えていた。あんなに乱暴な態度だったはずのミディが何故かシャワーから出てきたチヒロに恐ろしいほどの笑顔で、しかも優しい声色で話しかけてきたのだ。                                                                      ―――双子か・・・・・?それとも何かのりうつった!?                                                                            混乱した様子で促されるままにソファに腰を下ろしたチヒロに、ミディはさらに優しく話しかけ続ける。


「どうしたんだ?遠慮せずになんでも聞いてくれ・・・」                                                            「というか・・・・・あの、さっきと態度が・・・・・随分・・・・・その・・・・」                                                                  言いづらそうに口ごもるチヒロにミディは両手を叩くと、納得いったというような顔をした。                                 「あぁ!すまないな・・・。今日は本当は飛行の訓練をするはずだったんだが、この天気だろう?せっかくの鍛錬のチャンスを逃したカト思うとツイ苛立ってナ・・・スマナイネェ・・・・」                                                                何故か後半引きつり気味の声色のミディに首をかしげたチヒロだったが、バスルームでのピロリの言葉を思い出し本当に実際は優しい人なのかも・・・と自分を納得させた。                                                             そのままミディからちらりと視線をずらすと、その後ろの壁際に何故か恐ろしく肩を震わせてうずくまるディヴィスが見えた。何故かは分からないがどうやら大笑いしているようにも見える。                                                                         「あの・・・・彼はどうされたんですの・・・・?」                                                                  「・・・・・・・さぁ・・・?便通でも悪いんじゃないか?気にしないでいないものと思ってくれ。」                                           “誰が便秘だ!誰が!!”というディヴィスの言葉を無視すると、ミディは肘を膝に乗せて少し乗り出した体勢でチヒロと視線を合わせた。


「チヒロは親父さんのこと随分尊敬しているみたいだな・・・」                                                    家を追い出されたのかとからかったミディの言葉を、父がするわけないとつっぱねた態度からチヒロが父親を慕っている様子が感じられた。                                               「父は人としてとても尊敬できる人です。私も随分大事に育てていただけましたわ・・・・ただ・・・」                        「ただ・・・・?」                                                                            「あっ・・・いえ・・・・」                                                                              何かを言いかけてチヒロは口をつぐんでしまった。                                                        「・・・・・親父さん・・・心配してるんじゃないか・・・?」                                                                    「っ・・・・・」                                                                                                                                                                                                            一瞬チヒロは顔をくしゃくしゃにしたが、すぐに顔を俯かせてしまった。                                             ミディは席を立つと、そのままチヒロの横に腰を降ろしその肩に優しく手を置いた。                                          「お前もまだ若いんだ・・・何が理由で家を出たのかは分からない・・・。でも、もう一度きちんと親父さんと話し合って、それからでも・・・・・・」                                                          「遅いんですわ!!それでは・・・っ」                                                                            置かれていたミディの手を振り払うように真剣な目のチヒロがミディの方を向いた。                             「父は確かに立派な方です・・・。尊敬すべき弁護士ですわ・・・私も父を、父の仕事をとてもすばらしいと思っています。」                                                                            「へぇ〜〜お父さん弁護士なんですかぁ〜・・・」                                                                                     のんびりとした声で話しながらピロリが部屋に戻ってきた。しかし話の邪魔になると思われたのかすぐに壁際のディヴィスに捕らえられる。                                                               (何ですか!?どうしたんですか!?)                                                                 (いいから・・・ミディにまかせて・・・)                                                           


「私には・・・夢があります・・・。だから、私は弁護士になるわけにはまいりません!!」                                   きっぱりと、最後まで目をそらさずにチヒロはミディに言った。                                                      「お前の・・・夢は・・・?」                                                                                「・・・宇宙に咲くといわれる幻の・・・月の花を・・・見つけたいんですの・・・」                                    「えっ!?だってあれは・・・!!」                                                                叫び声を上げたピロリを制するようにミディは手のひらを掲げる。                                           「この船は後一時間ほどで宇宙に飛ぶと聞きましたわ!!貴方はパイロットなのでしょう!?・・・・・私を・・・弟子にしてくださいな!!」                                                                      「ぇええええええええ!!!ミディさん!!弟子ですって!!弟子!!じゃあミディさん師匠になるんじゃないですかぁ!!?」                                                                             


「うっせぇ〜〜〜〜ぞピロリ!!!!」                                                         「はいぃいい!!」


「・・・・・・・・・・・ぇ?」             


今の今まで輝かしいほどの笑顔で優しく語りかけていたミディの顔が、突如として豹変したのにチヒロはあんぐりと口を開いた。                                                                     「誰も見たことがないっていう希少種中の希少種、月の花に目をつけるとは・・・お前なかなかやるじゃないかチヒロ・・・。」                                                                   「えっ、えっ・・・・!?あれ!?」                                                                「よぉっし!!気に入った!!出発は今から一時間半後だ・・・必要なものはピロリに買いに行かせるから準備しな!!」                                                                ミディはソファから飛ぶように立ち上がると、スタスタとドッグに消えていった。                                 「・・・・・・・・・・・何・・・何なんですの?・・・あの方は・・・」                                              呆然と見送るチヒロにおかしそうに笑うディヴィスが近づいて、チヒロの頭を再びくしゃくしゃと撫でる。                                                                           「ミディは試してたんだよ。優しく諭してチヒロちゃんが親父さんとゆっくり話す・・・なんて甘っちょろいこと言うようなら叩き返すって。もし、チヒロちゃんに本当に情熱があるならかくまう意味で宇宙に一緒に連れてってやるつもりだったらしいが・・・まさかチヒロちゃんまで月の花を求めているとはね・・・・」                                                                                          最後に何故かディヴィスの手に力が入った気がして、チヒロは顔を上げてディヴィスの表情を覗く。しかし、そこには楽しそうな笑顔しか見られなかった。                                          「俺もそろそろ自分の船に戻らなきゃなぁ〜〜。次は宇宙で会いましょチヒロちゃん♪ミディは厳しいからな、くじけるなよ〜〜〜」                                                                      ぐしゃぐしゃに掻き乱された頭を抑えながらチヒロは顔を赤くさせた。                                     「くじけたりなんかしません!!」                


「はぁ〜〜〜〜なんだかよく分からないうちに解決しちゃったみたいですね〜〜〜」                                               ディヴィスが船から出て行くのを見送ると、ピロリは持っていたジャケットをチヒロにかけてため息をついた。                                                                        「あっ・・・・・・っと・・・態度が悪くて申し訳なかったですわ・・・。これからお願い致します・・・」                      「あはは!そんなの気にしなくていいんですよぉ!!無理矢理連れてきたようなもんなんですから!私はこの船の整備士ですからじゃんじゃん頼みごとしてくださいね!!これからお願い・・・」                        


「しなくていいですよ。もう連れて帰りますから。」


ベルもノックもなしにいつのまにか部屋に入っていたスーツ姿の男が、ピロリの言葉をさえぎった。          「え?どなたですか?勝手に入っちゃ駄目ですよぉ〜〜〜!!」                                                         新手の勧誘かと押し返そうと近寄るピロリの後ろから、硬い声が響いた。


「ビスタ・・・・ナツ・・・・・何故ここに!?」                                                                                                           ナツと呼ばれたスーツの男を困惑した目でチヒロが睨み、まるで凍りついたように部屋が静まり返った・・・・。 


「お迎えにあがりましたよ・・・・チヒロお嬢様・・・・・」


 


続く!!/ ★                                                                                                                                                                                                                                             


 


 


 


 


 

【2007/04/20 22:18】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
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