☆第四話

一瞬、その場は静まり返った。チヒロがナツと呼ぶその男は、冷ややかな目でチヒロの周りを見回した。チヒロも負けずとナツを睨み続けた。


「帰りますよ、チヒロ様」                                                         「なんであなたがここにいるんですの!!?」                                      「何言ってるんです。あなたを迎えに来たからじゃないですか」                             「私には・・やるべき事があるんです!そう簡単には帰れませんわ!!」


チヒロのその言葉にミディはやっと我に返った。


「おい!!てめぇ!誰の許可を得てここに来た?ここは関係者以外立ち入り禁止だ。」              「それは失礼。しかし私はチヒロ様の関係者・・・今日のところはそれでお許しいただけませんか?」                                                                          「いただけねぇな・・・全然いただけねぇよ。ここに入っていいのはどんな理由であれ私が許可しものだけだ・・・第一、チヒロは帰りたくないって言ってんだろ!とっとと帰んな!ピロリ!!塩まいとけ。」


いきなりのミディの言葉に一瞬ピロリは変な動きをした。・・・が急いでまじめに食堂に直行した。


「あのばか・・・ホントに行きやがった。まぁともかくだ、目障りだから帰ってくれ」


ミディは冷たく言い放った。しかしナツはミディの言葉を聞こうともしなかった。


「帰りますよ、チヒロ様。お父上もメイドたちも心配しておりましたよ。」


そういうとナツの顔は少し笑顔になり、少しだけ帰りたい気持ちにさせた。チヒロは足を前に出した。ミディは同時に眉間にしわを寄せた。


「どういうことだ?帰るのか?」                                                       


するとチヒロはミディのもとに走ってきた。そして耳元で何かを囁いた。ミディはニッコリ笑い言った


「そうか・・・じゃ・・帰りな!!おいそこの黒いやつチヒロを連れてけ!」                          「そうですか。やっとご理解いただけましたか。」                                            「おうおう。いただけましたともさ!」


そして二人は部屋を出ようとした。ミディは最後に言った。


「なぁチヒロ・・・今日はきっと星が綺麗だから夜南の窓から星を見るといい。」


チヒロは勝気に微笑みその場を去った。


 


「ミディさ〜ん!!ミディさ〜ん!!ミディさ〜きゃああああああ!!


壺を持っていたピロリは思いっきりコケ、ミディは壺を思いっきりかぶった。


「あ”!!!大丈夫ですかミディさん!!!」                                                


声のこもった壺の中でミディは言った。


「ピロリ・・・私は何を持って来いっていいましたっけ?」                                      「あ〜はい!塩です!!」


ピロリは自信満々に答えた・・・が次の瞬間鬼を召喚してしまった。


バカか〜〜テメェ〜はよ〜!!ああ??


ピロリは壁にへばりついた。


「塩って言ったんだよ〜。ただでさえホントに食堂まで行って、ああ〜ごくろうさんでした〜。でも何で甘いのかなぁ〜?このお塩?走ってる間に入れ替わっちゃったのかなぁ〜?                        


ピロリは話を変えようと思いついたように辺りを見回した。                                                  「あああ、あ、れ?チチチチチチ、チヒロちゃんは?」                                                                   「帰った・・。」


ピロリはその言葉に驚いた。


「へぁ!?!何で帰っちゃったんですか?ミディさんが返したんですか?」                          「うるせっ!!これはチヒロの考えだ・・・今夜出発と同時にチヒロを奪還してから行く! 


「奪還!!!!!」                                                        「・・・チヒロが変える間際、自分の家の場所を行って帰った。」                             「わぁ〜!お姫様奪還みたい〜!」                                           「お前・・・言うことが恥ずかしい。」


そういうと二人は屈み、コソコソ話し出した。


「でもひとつ問題がある・・・あのナツって男・・・多分計画に気づいてる。」                    「どうするんですか〜?!」                                               「そこでだ!ピロリ・・・お前この前音の一切出ないジェットとか発明してたよな?」                             「あぁ〜風の音はしますけど、回りの音に馴染むジェットですか?買い物するときに便利なんですよ〜」                                                                                                「ふむ・・・って言うことで、良かったなピロリ。買い物以外で役に立てるときが来たぞ!!」


ピロリはポカ〜ンとした。


「デイヴィスにも協力してもらう!!電話しろピロリ!!それで母船のコックピットに時間を延ばしてくれるように頼めと伝えろ!あいつのことだ・・・何とかうまく立ち回れるだろう。出発の時間までお前は作戦とジェットの整備だ!!」                                                               「ちょ、ちょっとまってくださいよ〜」                                                 「返事は!!??」                                                    「イエッサー!!」


こうしてピロリはまんまとミディに使われた。チヒロ奪還まであと一時間三十分。





 


 


ミディは部品を拭くピロリの横でコーヒーを啜りながらテレビをつけた。


『今日の2時半頃、キスト財閥の社長の長男、サン・キスト氏が2年前に行方不明になった、長村財閥の社長令嬢、長村雪さんについて会見を行いました。雪さんはキスト氏の婚約者で、今年の春頃婚礼を執り行うはずでしたが、その前の日雪さんは出かけてくると言ってそのまま行方不明になってしまいました。』


「かわいそーだな〜。逃げられたんだな〜」


横でブツブツ言っているミディを見ながらピロリは考え込んだように言った。


「サン・・・・キスト?」                                                     「どうした?」                                                                 「なんか聞いたことあるようなぁ〜」                                                「どっかのスーパーの名前じゃねぇの?気のせいだな!お前には縁がなさそうな話だよ」                             「ですよね〜」


二人は話しながらテレビに顔を向けた。


『キスト氏は雪さんの顔を今日テレビで公開しました。そして見つけた方に一億の賞金を授与することを発表しました』


写真を見たとたんミディは目を見開いた。


「・・・・・・・・おい・・・・・あの写真お前にくりそつなんだが・・・・」                                                 「気のせいですよ〜」                                                                    「だ・・・だよな・・・・・・・・」


ミディはまさかとは思いつつもあまり気にしなかった。そうであってもピロリが知らないと言うならそれでいいとミディは考えてた。/☆


 

【2007/04/28 20:50】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
stardustについて☆

こちらはHandmade Madame の管理人サクジロウとWonderman の管理人コックーによる完全オリジナル小説サイトです。


時代設定:                                                                                                                                                                      X世紀、貴族・政治家・無法者・放浪者・夢追い人・一般人・・・様々な人がいまや地球狭しと宇宙へその身を移していった。急増する人口、それと比率するように汚染される大地・・・のみならず宇宙も人間の手により今やそこらじゅうにデブリ地帯が出現する危険な地になっていた。                                                                                        政府が作った航路でしか船は宇宙を泳げず、海賊の溜り場と化した聖なる宇宙。                                                              そうしていつしか出来た政府公認の職業・・・“stardustパイロット”                                                                                                    宇宙に無限大に広がるゴミの山の回収。そして同じく宇宙に無限大に広がり続けるゴミのような奴らの排除。それが彼らのお仕事・・・


“デブリ・クリニック・カンパニー”                                                                                                    創設16年目のデブリ回収専門請負会社。もともとはミディの兄によって作られたものだが、彼が死亡してからはミディの手に渡った。


アズマ・チヒロ→16歳、大物政治家の娘、勝気な性格で生粋のお嬢様気質、本編主人公、夢を追うため家出、ピロリに拾われ居候のパイロット候補生になる


チジ・ミディペット→19歳、愛称ミディ、サーカス団団長の娘、デブリ・クリニック・カンパニーの現社長、死んだ兄の仇の海賊団を探している、かなり乱暴者


国原・ピロリ→19歳、本名は長村・雪の記憶喪失者、整備士の夢を追うためと愛の無い婚約者との結婚から逃げるため家を出たところ事故に会い記憶を失くす、ミディに拾われ現在はデブリ・クリニックの優秀な整備士、大概ぼけぼけな発言をする


後々追加予定です・・・☆                                                                                                                                                                                        

【2007/04/28 01:28】 | about | トラックバック(0) | コメント(0)
★第三話


「お、お嬢さまぁぁああああああああああああああああああ!!!」                                                                                                   とある高級住宅の一角にそびえる大邸宅。空は大雨、雷がひっきりなしに鳴る大荒れの中その邸宅から飛び出そうとする一人のメイド姿の女性がいた。


「やめなさいヴィッテル!!貴方ジェットカー運転出来ないでしょう!?こんな天気の日に普通の車で出ても事故に会うだけよ!!」                                                                                                             「でもお嬢様が!!“私はもう帰りません。お父様お許しください”って!!こんな書置き残されたって事はも、もももももしやじじじじじじじ〜〜〜〜〜自殺!?なんてことに!!!!」                                                               ヴィッテルと呼ばれたメイドは必死に止めようとする同僚の手を振り払い玄関の扉を開けて駆け出した。


ドンッ


勢いをつけて飛び出したヴィッテルは突然何かにぶつかると反動で後ろに転びそうになった。しかし、ヴィッテルが床に背を打ちつける前に誰かの手が彼女の腕を引きその身を抱きとめる。


「大丈夫かい?そんなに急いでどうしたんだ」                                                                          「ナツ様!?」                                                                                                                 ナツと呼ばれた男は抱えていたヴィッテルを離すと、ぶつかった拍子にほどけてしまった彼女の髪を撫でながら問いかける。しばらくされるがままに頬を赤らめていたヴィッテルだったが弾かれたように本来の目的を思い出し、すがりつくようにナツの腕を掴んだ。                                            


「お嬢様が!!お嬢様がいなくなってしまったのです!!」                                                                                     「お嬢様が・・・?」                                                                                                                   困惑した様子のヴィッテルの様子に眉をひそめると、ヴィッテルを止めようとしていた方のメイドが気づき、説明を加える。                                                                                                                    「先ほどヴィッテルがお嬢様のお部屋を清掃するときにこれを見つけたそうです。」                                                                           差し出された手紙を読んでナツは苦笑する。                                                                                                   「まったく、お嬢さまの行動力には困ったものだね。分かった、俺が連れて帰るから2人は先生に連絡つないでくれる?」                                                                                                                        「ナツ様、お嬢様の行き先を存じてますの?」                                                                                                         「大丈夫、知り合いの情報屋に聞けば一時間もせずに見つかるよ。」                                                          「ありがとうございます!!ナツ様!!」                                                                                                                                頼もしいナツの言葉に安心したのか余計に涙を流すヴィッテルの目じりにナツは指を添えると、怪しく微笑み彼女の耳元に囁いた。                                                                               「御礼なら・・・ベッドの中でしてくれるとありがたいんだけど・・・?」                                             「!!//////」                                                                                                                ボンッと顔を赤くしてヴィッテルは硬直する。そのままナツが手を彼女の顎に滑らすと・・・                                 「・・・・早くしてくれませんかね。ナツ様・・・」                                                                                                            「ははっ!冗談だよ!それじゃあ手がかり掴んだら連絡するから、先生に伝言頼んだよ」                                               冷ややかなもう1人のメイドの視線を笑顔で受け流すと、颯爽とナツは屋敷を後にした。                                            「まったく・・・頼りになるんだか、ならないんだか・・・・。さて、こっちは連絡しなきゃね・・・ヴィッテル・・・ちょっとヴィッテル・・・?」                                                                                                                          魂の抜けたような様子で頬を赤らめ玄関を見つめるヴィッテルに声をかけると、彼女はただ熱の篭った声で“ナツ様・・・・”と呟いた。                                                                                        「・・・・・完全に堕ちたわね・・・」                                                                                                                  同僚に哀れな視線を投げかけると、彼女は手にしていた手紙にちらりと視線をやり大きくため息をついて天を仰いだ。                                                                                                         「本当に見つかるのかしら・・・・チヒロお嬢様・・・」


―――――――――――――――


笑顔というものは人を和ませて、場の雰囲気を良くするものである。                                                                                                    


「ちゃんと温まったか?あぁ・・・でもその格好だと薄着だな。風邪を引いてしまうから・・・ピロリ、私のジャケットかなんか持ってきてくれ。」                                                                 「・・・・・・・・・・はぁ・・・・。分かりました・・・・」                                                                            「・・・・・・・・・・・・・あの・・・」                                                                           「ん?どうかしたか・・・?」                                                                              


笑顔とは人を和ませるもの、しかし今チヒロは目の前の人物の満面の笑顔に果てしない恐怖を覚えていた。あんなに乱暴な態度だったはずのミディが何故かシャワーから出てきたチヒロに恐ろしいほどの笑顔で、しかも優しい声色で話しかけてきたのだ。                                                                      ―――双子か・・・・・?それとも何かのりうつった!?                                                                            混乱した様子で促されるままにソファに腰を下ろしたチヒロに、ミディはさらに優しく話しかけ続ける。


「どうしたんだ?遠慮せずになんでも聞いてくれ・・・」                                                            「というか・・・・・あの、さっきと態度が・・・・・随分・・・・・その・・・・」                                                                  言いづらそうに口ごもるチヒロにミディは両手を叩くと、納得いったというような顔をした。                                 「あぁ!すまないな・・・。今日は本当は飛行の訓練をするはずだったんだが、この天気だろう?せっかくの鍛錬のチャンスを逃したカト思うとツイ苛立ってナ・・・スマナイネェ・・・・」                                                                何故か後半引きつり気味の声色のミディに首をかしげたチヒロだったが、バスルームでのピロリの言葉を思い出し本当に実際は優しい人なのかも・・・と自分を納得させた。                                                             そのままミディからちらりと視線をずらすと、その後ろの壁際に何故か恐ろしく肩を震わせてうずくまるディヴィスが見えた。何故かは分からないがどうやら大笑いしているようにも見える。                                                                         「あの・・・・彼はどうされたんですの・・・・?」                                                                  「・・・・・・・さぁ・・・?便通でも悪いんじゃないか?気にしないでいないものと思ってくれ。」                                           “誰が便秘だ!誰が!!”というディヴィスの言葉を無視すると、ミディは肘を膝に乗せて少し乗り出した体勢でチヒロと視線を合わせた。


「チヒロは親父さんのこと随分尊敬しているみたいだな・・・」                                                    家を追い出されたのかとからかったミディの言葉を、父がするわけないとつっぱねた態度からチヒロが父親を慕っている様子が感じられた。                                               「父は人としてとても尊敬できる人です。私も随分大事に育てていただけましたわ・・・・ただ・・・」                        「ただ・・・・?」                                                                            「あっ・・・いえ・・・・」                                                                              何かを言いかけてチヒロは口をつぐんでしまった。                                                        「・・・・・親父さん・・・心配してるんじゃないか・・・?」                                                                    「っ・・・・・」                                                                                                                                                                                                            一瞬チヒロは顔をくしゃくしゃにしたが、すぐに顔を俯かせてしまった。                                             ミディは席を立つと、そのままチヒロの横に腰を降ろしその肩に優しく手を置いた。                                          「お前もまだ若いんだ・・・何が理由で家を出たのかは分からない・・・。でも、もう一度きちんと親父さんと話し合って、それからでも・・・・・・」                                                          「遅いんですわ!!それでは・・・っ」                                                                            置かれていたミディの手を振り払うように真剣な目のチヒロがミディの方を向いた。                             「父は確かに立派な方です・・・。尊敬すべき弁護士ですわ・・・私も父を、父の仕事をとてもすばらしいと思っています。」                                                                            「へぇ〜〜お父さん弁護士なんですかぁ〜・・・」                                                                                     のんびりとした声で話しながらピロリが部屋に戻ってきた。しかし話の邪魔になると思われたのかすぐに壁際のディヴィスに捕らえられる。                                                               (何ですか!?どうしたんですか!?)                                                                 (いいから・・・ミディにまかせて・・・)                                                           


「私には・・・夢があります・・・。だから、私は弁護士になるわけにはまいりません!!」                                   きっぱりと、最後まで目をそらさずにチヒロはミディに言った。                                                      「お前の・・・夢は・・・?」                                                                                「・・・宇宙に咲くといわれる幻の・・・月の花を・・・見つけたいんですの・・・」                                    「えっ!?だってあれは・・・!!」                                                                叫び声を上げたピロリを制するようにミディは手のひらを掲げる。                                           「この船は後一時間ほどで宇宙に飛ぶと聞きましたわ!!貴方はパイロットなのでしょう!?・・・・・私を・・・弟子にしてくださいな!!」                                                                      「ぇええええええええ!!!ミディさん!!弟子ですって!!弟子!!じゃあミディさん師匠になるんじゃないですかぁ!!?」                                                                             


「うっせぇ〜〜〜〜ぞピロリ!!!!」                                                         「はいぃいい!!」


「・・・・・・・・・・・ぇ?」             


今の今まで輝かしいほどの笑顔で優しく語りかけていたミディの顔が、突如として豹変したのにチヒロはあんぐりと口を開いた。                                                                     「誰も見たことがないっていう希少種中の希少種、月の花に目をつけるとは・・・お前なかなかやるじゃないかチヒロ・・・。」                                                                   「えっ、えっ・・・・!?あれ!?」                                                                「よぉっし!!気に入った!!出発は今から一時間半後だ・・・必要なものはピロリに買いに行かせるから準備しな!!」                                                                ミディはソファから飛ぶように立ち上がると、スタスタとドッグに消えていった。                                 「・・・・・・・・・・・何・・・何なんですの?・・・あの方は・・・」                                              呆然と見送るチヒロにおかしそうに笑うディヴィスが近づいて、チヒロの頭を再びくしゃくしゃと撫でる。                                                                           「ミディは試してたんだよ。優しく諭してチヒロちゃんが親父さんとゆっくり話す・・・なんて甘っちょろいこと言うようなら叩き返すって。もし、チヒロちゃんに本当に情熱があるならかくまう意味で宇宙に一緒に連れてってやるつもりだったらしいが・・・まさかチヒロちゃんまで月の花を求めているとはね・・・・」                                                                                          最後に何故かディヴィスの手に力が入った気がして、チヒロは顔を上げてディヴィスの表情を覗く。しかし、そこには楽しそうな笑顔しか見られなかった。                                          「俺もそろそろ自分の船に戻らなきゃなぁ〜〜。次は宇宙で会いましょチヒロちゃん♪ミディは厳しいからな、くじけるなよ〜〜〜」                                                                      ぐしゃぐしゃに掻き乱された頭を抑えながらチヒロは顔を赤くさせた。                                     「くじけたりなんかしません!!」                


「はぁ〜〜〜〜なんだかよく分からないうちに解決しちゃったみたいですね〜〜〜」                                               ディヴィスが船から出て行くのを見送ると、ピロリは持っていたジャケットをチヒロにかけてため息をついた。                                                                        「あっ・・・・・・っと・・・態度が悪くて申し訳なかったですわ・・・。これからお願い致します・・・」                      「あはは!そんなの気にしなくていいんですよぉ!!無理矢理連れてきたようなもんなんですから!私はこの船の整備士ですからじゃんじゃん頼みごとしてくださいね!!これからお願い・・・」                        


「しなくていいですよ。もう連れて帰りますから。」


ベルもノックもなしにいつのまにか部屋に入っていたスーツ姿の男が、ピロリの言葉をさえぎった。          「え?どなたですか?勝手に入っちゃ駄目ですよぉ〜〜〜!!」                                                         新手の勧誘かと押し返そうと近寄るピロリの後ろから、硬い声が響いた。


「ビスタ・・・・ナツ・・・・・何故ここに!?」                                                                                                           ナツと呼ばれたスーツの男を困惑した目でチヒロが睨み、まるで凍りついたように部屋が静まり返った・・・・。 


「お迎えにあがりましたよ・・・・チヒロお嬢様・・・・・」


 


続く!!/ ★                                                                                                                                                                                                                                             


 


 


 


 


 

【2007/04/20 22:18】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
☆第二話

 


ジャー・・・・キュッ・・キュッ・・ 


「お湯加減はどうですか〜?」


猫のお風呂をためながらピロリは言った。


「えっ?あ、あ〜ええ。まあまあですわ」                                       「雨にたくさんあたりましたからねぇ〜。ゆっくり入って下さいね〜」                          


「・・・・・・私のこと・・・何も聞かないんですの?」                                「ああ〜・・・クスッ・・・。聞いてほしんですか〜?」 


ピロリはニコニコしながら意地悪そうに言った。


「べ、別にそんなんじゃないですわ!!・・・ただ・・私がここにいるのは迷惑なんじゃないんですの?ま、まぁ私もこんな所につれてこられて迷惑してますけど!」


「・・ミディさんの事ですか〜?」                                             「あの方はずいぶん偉そうですわね!言い方に棘がありますわ!!」                       「それはどっちもどっちですよ〜」                                                 「う・・・・。」                                                        


チヒロは半分お湯に顔をつけながら眉間にしわを寄せた。


「ミディさんはああ見えてすごくやさしいんですよ〜。猫を拾ってきて怒られたりもするけど、その猫をここで飼えるのもミディさんのおかげなんですよ〜!」


ピロリは猫達をタオルで拭き、ドライヤーで乾かしながら言った。


「そうは見えませんわ・・・。」                                                 「そうだね・・・チヒロちゃんも時期に分かりますよ〜。」


そう言うとピロリはチヒロにバスタオルを渡した。猫達を抱いてるピロリを見ながらチヒロは恥ずかしそうにひとつだけ質問をした。


「あ、ああ、あの男性の名前はなんておっしゃるの?」                                「男性??・・・・・・・あぁっ!!デイヴィスさんですか??」                                          「デイヴィス様??って言うの?」                                                            「そうですよ〜。デイヴィスさんはすごい人なんですよ〜!!皆の人気者なんです!しかもミディさんと並ぶくらいのパイロットなんですよ!」                                              「パイロット・・・?」


チヒロはポカンと口を開け、ピロリの言葉に疑問符を投げかけた。


「パイロット・・・なんですの??」                                                             「あっ、はい〜!というか、ここにいる大半はパイロットかパイロット志望の生徒ですよ!あと整備士とか色々ですね〜」                                                           「な、なんでパイロットばっかりなんですの??」


チヒロは焦って早口になりながらもでっかいプライドを持ちこたえ平常心を装った。                そうとも知らずピロリは普通〜にさらりと答えた。


「へ?何でってここはパイロット学校を育成しているんですよ!本業は他にありますが、ミディさんが「宇宙に出て弱い奴はいらねぇ!」って言ったもんだからミディさんのお兄様がお作りになったらしいですよ〜」


「う、宇宙!!?・・宇宙に行くんですの??」                                               「はい〜!この船は星にいるほうが少ないですよ〜ははは。私達の仕事場は宇宙ですから〜」


チヒロは頭が真っ白になりその場に立ち尽くした。


「おお〜い!チヒロさん??ど〜したんですか〜?」                                     「は、ははは〜・・・・・宇宙って・・・・・」


 


 


 


 


ミディは自分の機体を整備しながら不機嫌そうに言った。


「ピロリの野郎・・本当にあのガキを連れて行くつもりなのかよ!」                            「いいんじゃないの?チヒロちゃんが行きたいなら。」                                    「デイヴィス正気か?!あのガキは宇宙に行く覚悟もねぇどころかこの船が宇宙にあと1時間ちょいで出発するっていうことも多分知らねぇ!!おそらく説明もないままピロリに連れてこられたんだよ!」


デイヴィスは笑った。


「あははは!!お前が言えたことでもないぞ!ピロリちゃんを何も言わずこの船に乗せたのは誰だよ?」                                                                    「そ、それとこれとは別問題だ!!」                                                    「いいや!別でもないね!・・・自分を見てるみたいでほっとけないんじゃないいのかなぁ〜。ピロリちゃん何があったかは知らないけどさ!チヒロちゃんを雨の中置き去りにはできなかったんだよ」「これだからお前は甘いんだよ!!」


ミディは苦笑いしながらデイヴィスを小突いた。


 


「ミディさ〜ん!!チヒロちゃんお風呂から出ましたよ〜」


遠くでピロリが叫んだ。


「なぁデイヴィス・・・ひとつ試そうと思うんだけど・・・。」                                             「はぃ?何をだ?」                                                               「決まってんだろ!あのガキだよ。本当にここにいる気があるのかをね!」                               「またお前は・・・。」


ニヤニヤしたミディにデイヴィスはため息をついた。二人は整備した機体をあとにして、ピロリ達の元へ向かった。/☆                             


 

【2007/04/17 22:39】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
★第一話

 


「気のせいかディヴィス・・・?私にはピロリの後ろにびしょ濡れの人間が立っているように見えるんだが・・・見間違いか・・・?」                                                                                                  「両目2・0以上のお前がそんな見間違いするはずもねぇだろ・・・。それに、俺にも見える・・・」


「何ですの?見える見えるって・・・私はここにいるのですから見えるに決まっているでしょう?」


両手に猫達を抱え気の抜けた笑顔でミディ達と向かい合っているピロリ。その真後ろ、ピロリより頭1つ分小さい少女が長い黒髪をたっぷり濡らし不機嫌そうな様子で腕を組んで立っていた。


「・・・なんだと、てめぇ・・・」                                                                                   「てめぇとは何です!てめぇとは!私にはアズマ・チヒロという立派で気品に溢れた名があるのですよ?」                                                                                                    チヒロと名乗るその少女は組んでいた腕を腰にやると、貴族口調でふんぞり返るように淡々と話した。その様子にミディは鋭利な視線を目の前に立つピロリに向ける。                                                                                                                         「・・・・・・・・おいピロリ」                                                                                       「はい!どうしましたかミディさん?」                                                                                                               低い唸るようなミディの声に返事をしてピロリは近くまで寄った。


ゴッツィーーーーーーーーーーーン!!


「いっ痛っああーーーーーーーーーーー!!何するんですかミディさん!ひどいですよミディさん!!こぶできちゃいますよミディさん!!!」                                                                                  「うるさいわ!!何なんだこいつは!あれほど余計なものは連れてくるなと言っただろう!!」                                                「だって・・・雨の中ずぶ濡れだったんですよぉ〜〜〜。風邪ひいちゃうじゃないですかぁ・・・」                                                                     「だからってこんなガキ・・・!!」


「私は子供じゃありません!!」


今まで横柄な態度でふんぞり返っていたチヒロが突然顔を真っ赤にして声を荒げた。一瞬唖然としたミディだったがすぐに眉を寄せ不機嫌な様子に戻る。


「どう考えたって子供だろ?その着の身着のままの状態にしたって・・・おおかたイタズラでもして家をおん出されたんじゃねぇの?」                                                                   「失礼ですわよ!?お父様はそんな酷い事決してなさりません!!私は、私の意志で家を出たんですわ!!」                                                                                                      「ほ〜らやっぱり家出少女じゃないか!ガキはさっさと家帰ってパパと温かいミルクでも飲んでろ!」                                                                                                                     「子供じゃないって言ってるでしょう!?勝手に連れてきておいてなんて失礼なの!!」                                                                            


「あぁ〜〜〜〜・・・やっぱり家出少女なんですかぁ・・・」                                                                                          「・・・・・ピロリ・・・お前な・・・・」                                                                                                      あまりにのん気なピロリの台詞にミディは拳を震わせ青筋をたてる。                                                 「こそこそ隠れる様子だったんで、もしかして美少女犯罪者!?なぁ〜〜〜んて思ったりもしたんですが・・・残念だなぁ・・・」                                                                     「「・・・・・・・・・・」」                                                                     「まっ、まぁ取りあえずシャワーだけでも貸してやれよミディ!」                                              ピロリの空気を読まない発言の数々にミディまでならずチヒロからも冷気が流れているのを感じ取ったディヴィスが努めて明るい声で場を納める役を買って出た。                                  「何でこんなガキに貸してやらなきゃいけない!!」                                    「この子が出て行くにしろ何にしろこのままだと完璧風邪ひいて肺炎になっちまうのがオチだよ。そんなん放って置けるお前じゃないだろ?」                                                           「・・・・だからってなぁ!!」                                                       


「あっ、じゃあついでにこの子猫達もシャワー浴びさせてあげていいですか?ミディさん。僕達も風邪ひいちゃうにゃ〜〜〜・・・なんちゃって」                                          


猫をミディに向けて掲げるピロリ、追い討ちのごとく子猫がにゃ〜と可愛らしく鳴いた。                          


「・・・・・・・っ勝手にしろこの猫娘!!ディヴィス!!整備に付き合え!!」                          「はいは〜〜〜い・・・えっと・・・」                                                  「・・・・アズマ・チヒロです・・・」                                                   「そう、チヒロちゃん。100数えてしっかり温まるんだよ〜〜〜♪」                                  そう言ってディヴィスはチヒロの頭をくしゃりと撫でると、ミディの行った方に鼻歌交じりで去って行った。ピロリはシャワー室を案内しようとチヒロに視線を移すと、チヒロはなぜか顔を赤らめて去って行った方を見つめていた。                                                                               「どうしたんですか?チヒロさん」                                                      「え!?あっな、何でもないですわ!!さっ案内して下さい!!シャワー室はどこですか!?」                                                                      ピロリの声にびくりとおおげさな反応を見せると、チヒロはますます顔を赤くさせて裏返った声でぎくしゃくと歩き出した。                                                                                                 「そっちはキッチンなんですが〜・・・。一体どうしたんでしょうね?」


ピロリが首を傾げて子猫たちに語りかけたが、当たり前のごとくにゃ〜という鳴き声しか返事は返ってこなかった。/★


                                                                                

【2007/04/15 21:23】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
FIRST STAR 

今日の天気・・・雨。午後から急に降り出し、すでに路面は下水に流れ切れない水で溢れ返っている。行きかう車の視界は悪く、たまに通りから急ブレーキの音が聞こえてくる。


ザァ・・・・ザァ・・・・・


「うわぁ〜結構降ってきちゃったなぁ〜。早く戻らないとミディさんに怒られちゃうよ〜」  ニャー ニャー                                                                                                                                  雨をくぐるようにピロリは走った。 金髪のセミショートの髪は揺れアホ毛は撥ねた。


「こんなに時間かかるとは思ってもいなかった・・・・よ・・・って・・・あれ?」                        足を止めピロリは目を擦った。道の端に誰か座っているのだ。                        


「あの〜?こんな所にいたら濡れちゃいますよ〜?」                                   (女の子だよね・・・?)                                                                        


「・・・・・・・・・」                                                   少女はセーラー服を纏い、長くて黒い髪を垂らしていた。                                                                                                           


「風邪ひいちゃいますよ〜」                                                 あまりにしつこいピロリに少女は睨み返した。                                    


「なんですの?さっきから・・・。ほっといて下さいませんか・・・。」                       


「ほっとけないですよ〜!」                        


「あなたには関係ないじゃない!!!」                                                             少女はピロリの腕を振り払い、その場から立ち去ろうとした。 


(ブォォォー)                                                                後ろからすごい速さで車が走ってきた。二人はよける暇もなく車に泥水をかけられてその場に立ち尽くした。


「うわぁぁ」                                                           「・・・・・・」


「あっちゃ〜二人とも泥だらけになちゃいましたね〜。まったくこんな細い路地でジェット噴射は禁止なのに〜もう!!」   ニャーニャー


「いい加減にしてよ!!私のことはほっといて!!」


「今や車は空を飛んでいます。こんなところにいたら頭ぶつけちゃいますよ〜ってこんなこと言ってってもしょうがないか〜」ピロリはニコニコしながら少女の手を強引に引っ張り走り出した。


「ほらこっち、こっちですよ〜。すぐそこに私のジェットがあるんです!」                   「きゃっ!!放してください!!警察呼びますよ!!」                              「今は君のほうが知られたくないんじゃないですか〜」


「・・・・・・・・」


 


 


 


 


午後2時。今日は月に一回宇宙を離れて星に着陸する日だ。パイロット生は久しぶりの休みを友達同士で予定を立てて出かけたり、部屋で休んだり、地上の空気を味わったりと自分達の時間を満喫していた。                                                      しかし部屋にこもり、コーヒーを飲みながら時間を気にするものもいた。


「あぁ〜コーヒーはうめぇ〜な〜。このコクといい香りといい、深い味わいで〜云々」


彼女の名前はチジ・ミディ・ペット。彼女はパイロットにしてこの航空会社『デブリ・クリニック・カンパニー』の社長である。もともとは兄の会社だったが、兄が死んでから妹のミディが社長をしている・・・がまだ19歳という若さからか自覚なし。仕事は人にまかせっきりだが、態度は偉そうである。しかしパイロットの腕は確かだ。彼女を慕うものも少なくはない。練習は他の生徒と一緒に行っているので友達も数多い。


「それにしてもピロリの奴遅いな。どこまで備品買いに行ったんだよ。早くしねぇと母船においてかれるぞ・・。あと3時間か・・・。」


[シュコー・・・・](ドアの音)


「おう!いいもん飲んでんな!!」                                            「ディヴィス!」


彼はミディの親友のCA・T・ディヴィスだ。練習熱心で、休みの今日でさえ練習を怠らない。


「お前、今日久しぶりに宇宙じゃないとこで飛べるって言ってたけど、練習したのか?」          「ふっ!相変わらずだなお前は!!ははは・・・そんな質問愚問だね!!」               「・・・さぼったな・・・」                                                 「さ〜て、もういっぱいコーヒー飲も〜!!」                                              「図星か・・・はぁ〜・・・。」  


「そういえばピロリちゃんは?」                                               「買出しに行かせたんだけど帰ってこないんだよ。」     


(タッタッタッ)「ミディさ〜んミディさ〜〜〜〜ん!!ミディさ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!」                 (スッパン!)


「うっせ!!なんだよ!!」                        


「いてて〜スリッパでたたかなくても!!」 


「買ってきたか備品?」  ニャー ニャー                                 「あっ!はい!!ポッケに入ってます!」   ニャーニャー                          「そうかそうか!・・・じゃ膨らんだ腹の中を見せてもらおうか!!!あぁ?!!」          「ギクリ・・・あ・・・はい・・・。」


(ジーーーー)  ニャーニャー   ニャーニャー


「またか・・・まぁ〜たお前は懲りずに拾ったのか!!!!!」                       「で、でも!雨の中私に訴えかけてきたんです!・・多分・・。」                         「問答無用!!今すぐもとの位置に捨ててこーい!!」                           「はぅ!!・・」


「はぁ・・・まったくお前はどこまでバカなんだ・・・か・・・・ハァ!!!??                                                     


そこにはずぶ濡れの少女が立っていた /☆


                                                      


                                                                                                               


 

【2007/04/15 20:50】 | stardust本編 | トラックバック(0) | コメント(0)
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